CAD/CAMハイブリッド冠を作る上での注意点CAD/CAM
CAD/CAMハイブリッド冠をセットされた後の破損、脱冠のリスクを少しでも無くすために出来る事。
印象精度や技工精度はもちろんの事、支台の形成が大変重要になってきます。それと同時にCAD/CAMハイブリッド冠は特殊なミリングバーを使用するため、それに合った支台形成が必要になります。

POINT1:咬合面の均一な厚みは強度に直結します。
POINT2:専用ミリングバーの形状上、厚みと丸みが必要です。
POINT3:マージンを薄くしない事で、マージンのチップを防げます。

CAD/CAMハイブリッド冠の形成で気をつけて頂きたい点は、支台歯に厚みと丸みが必要な点です。左図の様に鋭角な支台形状の場合、CAD/CAMで削りだす専用ミリングバーの構造上、内面が正確に削り出す事が出来ません。そのため上図の様な形成、厚みを目標として頂きたい所ですが、既製のバーではこういった形を作るには難しいと思います。そこで専用の
バーが必要になってきます。CAM/CAMハイブリッド冠の支台形成に適したバーです。
支台の厚みと丸みの付与には松風から発売されているSF151がおすすめです。
※このダイヤモンドポイントは松風ダイアモンドポイントFG CAD/CAMプレパレーションキッドに含まれています。

トラブルを防ぐCAD/CAM冠セット時注意事項CAD/CAM
サンドブラストの重要性
CAD/CAM冠及び全てのジャケット冠はチェアーサイドでのサンドブラスト処理は必須です。
いくら技工所でサンドブラスト処理を行っていても、一度でも口腔内で試適を行うと内面が汚染されます。
全ての調整を終えた後、チェアーサイドでブラスト処理を行ってください。
サンドブラストは安価な物が市販されています。
ジャケット系の補綴物の接着強度が大幅に改善されます。
将来保険CAD/CAM冠を導入されるなら必ず買うことになります。
2、3年先に買うことになるなら、今導入して明日からの診療に生かされる事をお勧めします。
デンケン・ハイデンタル商品のご紹介 <デンケンハイデンタルのサイト>
ミニブラスター <用途: 簡易サンドブラスター(ハンディタイプ)>
リライニング材被着面の表面処理に便利です。
(※「リライニングサンド」使用)
その他歯科用表面処理剤にも使用可能です。
集塵ボックス「ぎんざん」と併用すれば飛散がなく便利です。ペンシル・ブラスター <用途:小型サンドブラスター(ペンシルタイプ)>
エアーレギュレーター及びフットスイッチ付ペンシルブラスターです。
便利で耐久性のあるペンシルタイプ採用のため幅広くご使用いただけます。
集塵ボックス「ぎんざん」と併用すれば飛散がなく便利です。
セメント合着の重要性
支台とCAD/CAMハイブリッド冠の内面を強固な接着する事で、破損のリスクを抑える事が期待されます。
ハイブリッドレジンブロックに使用出来る推奨セメントをいくつかご紹介させていただきます。
GC G-ルーティング
被膜厚さが10μで浮き上がりが少なく、操作も簡単です。接着強度も非常に高いセメントです。
「出して、練って、セットするだけ!」の使いやすさと強固な接着力を実現した新開発の接着性レジンセメントです。
接着性モノマーとして「りん酸エステルモノマー」を配合。歯質はもちろんのこと金属やセラミック、ジルコニアなどのさまざまな補綴物に処理材なしで強固に接着します。
さらに保険診療から審美修復まで幅広くご使用いただくために3色の色調をラインナップ。
オールマイティーに使用できる「A2」をはじめ、メタル製の補綴物には余剰セメントが区別しやすい「AO3」、セラミックインレーなどには透明性を高めた「トランスルーセント」がお薦めです。
松風レジセム
弊社のCAD/CAMシステムは松風です。その松風が推奨しているセメントモデルです。
フルセラミック、およびフルハイブリッド、HJKなどの審美補綴セメンティングの落とし穴
上記の、審美技工物はメタルを介在しないため、良くも悪くも支台歯の色を拾います。支台歯に上記の補綴物を被せて色が良い、色が合ってると思ってセメンティングしても、いざセメンティングしたら、若干思っていた色と違って、お困りになった経験がないでしょうか?
一度、支台歯と技工物の外内面を濡らしてから被せる事で、水が支台の色を拾いますので、セメンティングを行った後の色をしっかり前もって吟味できます。そしてその際、ある程度の色の誤差はセメントの色を使い分ける事で微調整ができます。
前歯左右対称の技工物は、セメンティングした後の左右技工物の色の違いが著明に浮き出ます。そういった場合、こちらで紹介させて頂いたやり方が、特に有効です。是非、お試しください。
CAD/CAM法によって製作する補綴物の接着 (レジンとジルコニア)CAD/CAM
ハイブリッド硬質レジンの接着(CAD/CAM冠)
接着が困難な材料の一つ、接着のためのターゲット
マトリックスレジン
架橋康造(網目康造)をしている。
構造を溶剤で膨潤させて後から添加するレジンのモノマーを浸透させるることが困難である。例えば、壊れたレジン床義歯を即重レジンで修理するような接着は困難。
フィラー
フィラーにシランカップリング剤を介して接着することができる。
シランカップリング剤を介した接着は耐久性に限界がある。
セメンティング
レジン系セメントは以下の2通りに大別される。
セルフアドビーシヴレジンセメント <サンドブラスト処理は必須>
接着性モノマー(リン酸エステル系)を含有する
セットは短時間で済む
術者によるばらつきが少ない
セルフアドビーシヴを謳わない(接着性)レジンセメント <サンドブラスト処理は必須>
接着性モノマーを少量含有する、もしくは含有しない
作業段階が多く、セットに時間を要する
術者によるばらつきがおこりがち
確実に行えば効果は非常に大きい
ジャケットクラウン CAD/CAM冠の装着
ジャケットクラウン内面処理
アルミナサンドブラスト処理
シランカップリング剤(ボンディング剤)の塗布
支台歯側の処理
歯質(歯面処理剤)
メタルコア ・・ アルミナサンドブラスト(金属接着用プライマーの塗布)
レジンコア ・・ アルミナサンドブラスト(シランカップリング剤の塗布 セルフアドビーシヴでは不要)
サンドブラスト処理 ・・ 表面の清浄化 微細な凹凸の付与
シランカップリング処理 ・・ ガラスフィラーとの接着(良く乾燥させる)
ボンディング剤の併用 ・・ 濡れを良くする シランカップリング剤を活性化させる
破壊試験から得られた知見
- 合着力が強いセメントを用いて装着する(コンポジット系レジンセメント)
- 合着力が弱いセメントは用いない
- 仮着は行わない
- 試適・咬合調整に際しては十分な注意を払う
- 装着時に槌打しない
- メタルコアよりもレジンコアが望ましい(接着強度に大きな差がある)
- MetaColorPrimeArtで製作したジャケットクラウンをパナビアとスーパーボンドを用いて 装着した場合、同等の破折抵抗性を示した
- パナビア スーパーボンドともに、レジンコアではメタルコアよりも高い破折抵抗性を示した
- 衝撃吸収性のあるJacketObaqueを用いて接着性レジンセメントによりレジンコアに装着することで、最も高い破折抵抗性が得られた
CAD/CAM冠の利点
- 積層法よりも強度に優れる
- ペーストを積層して製作する方法に比べて、破壊の起始点となる気泡の混入がない
- 研磨が容易
- 微細な気泡が皆無なので、滑沢に仕上がる
- 破折しても、支台歯の形態に変わりがなければ、CADのデータから印象採得なしで再生可能
CAD/CAM冠の欠点
- 支台歯の削除量が多い
- 単色の(単層)のブロックから削りだすためシェイディングによる審美的表現に限界がある
- 審美的に積層構造に劣る
- オペーク層が無いため、メタルコアでは金属色遮蔽性のあるセメントが必要
CAD/CAMを用いた歯冠修復物としてのジルコニアによるクラウン
レイヤリング(積層法)、ステイニング(着色法)、いずれにしても支台歯に適合するのはジルコニアです。
レイヤリング法によるジルコニア・クラウンは焼成した陶材の剥離を伴う破壊(ジルコニアと陶材の焼付け強さの問題)が指摘され長期予後が不明とされています。 そこで補綴物全体をジルコニアで製作するFMZが注目されています。
FMZの長所
- 強度が強い
- 色調が天然歯に似ている
- マスキング効果があり、支台歯(メタルコア、変色歯)、が透けにくい
- 変色がなく、歯肉への着色が無い
- プラークが付着しにくい
FMZの短所
- 審美性がe-maxに比べて劣る
- 非常に硬いため、咬合接触関係に配慮が必要な場合がある
- レイヤリング法を用いないといけない場合がある
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